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かつやの客数が減り続けている!?値上げで失った“安さのブランド”

◆ はじめに|「安くてうまい」のかつやに異変

「かつやって、昔はもっと安かったよな?」

最近、そんなことを感じた人はいないだろうか。

サクサクのとんかつ。

ボリューム満点のカツ丼。

そして、財布に優しい価格。

かつやといえば、そんなイメージを持つ人も多いはずだ。

しかし今、そのかつやに異変が起きている。

お客様の数が減っているのだ。

2026年8月の既存店実績を見ると、客数は前年同月比6.1%減少。

一方、客単価は0.8%上昇している。

それにもかかわらず、既存店売上高は5.4%減少した。

つまり、客単価を上げても、客数の減少を補えていない。

さらに、業界報道によると、かつやは2024年9月以降、前年同月比で客数の減少が続いている。

一体、何が起きているのだろうか?

値上げが原因なのか?

それとも、競合にお客様を奪われているのか?

今日は、かつやの客数減少を入り口に、企業が値上げによって失う可能性のある「ブランド価値」について考えてみたい。

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◆ 第1章|数字で見る、かつやの異変

まずは、実際の数字を見てみよう。

かつやを運営するアークランドサービスホールディングスは、アークランズの子会社だ。

同社が公表する月次データによると、2026年8月のかつや既存店実績は次のとおりだった。

■ 既存店売上高:前年同月比94.6%

■ 既存店客数:前年同月比93.9%

■ 既存店客単価:前年同月比100.8%

つまり、売上は5.4%減。

客数は6.1%減。

客単価は0.8%増ということだ。

ここで注目してほしいのは、客単価と客数が逆方向に動いていることだ。

一人のお客様が支払う金額は、わずかに増えている。

しかし、来店するお客様の数は減っている。

そして、結果として売上も減少している。

もちろん、客単価の上昇がすべて値上げによるものとは限らない。

注文される商品の構成や、追加注文の変化によっても客単価は変わる。

それでも、今回の数字から分かることがある。

一人当たりの売上を増やしても、来店客数が減れば、売上全体は落ちる可能性がある。

これは、飲食店経営の基本であり、同時に非常に難しい問題でもある。

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◆ 第2章|値上げすると、なぜ客数が減るのか?

ここで、値上げと客数の関係を考えてみよう。

例えば、ある飲食店がある。

1日の来店客数は100人。

客単価は800円。

すると、1日の売上は8万円だ。

ここで、店が10%値上げしたとしよう。

客単価は880円になる。

もし来店客数が100人のままなら、売上は8万8000円。

8000円の増収だ。

しかし、値上げによって来店客数が90人になったらどうなるだろうか?

880円 × 90人。

売上は7万9200円。

なんと、値上げ前の8万円を下回ってしまう。

つまり、値上げによって客単価が上がっても、それ以上に客数が減れば売上は落ちる。

この関係を理解するうえで重要なのが、価格弾力性という考え方だ。

価格弾力性とは、商品の価格が変化したとき、需要がどれだけ変化するかを表すものだ。

例えば、価格が10%上がったとき、購入数量が2%しか減らなければ、需要は価格に対して比較的鈍感だと言える。

一方、価格が10%上がって購入数量が15%減るなら、需要は価格に敏感だと言える。

飲食店の場合、価格が上がると、消費者は別の店を選ぶかもしれない。

外食を減らして、スーパーのお弁当にするかもしれない。

そもそも昼食の予算を見直すかもしれない。

つまり、企業が値上げをするときは、単に原材料費を回収できるかだけでなく、お客様がどれだけ離れる可能性があるかを考えなければならない。

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◆ 第3章|かつやが売っていたのは「カツ丼」だけではない

ここで、俺は一つ重要なことを考えたい。

かつやの強みとは、何だったのだろうか?

もちろん、とんかつやカツ丼のおいしさは重要だ。

ボリュームも魅力だろう。

しかし、かつやのブランドを支えてきた大きな要素の一つが、手頃な価格で満足できることだったのではないだろうか。

例えば、昼食を選ぶとき。

1000円以上払って、おいしいとんかつを食べる。

それなら、さまざまな選択肢がある。

しかし、できるだけ安く、揚げたてのカツ丼を食べたい。

そう考えたとき、かつやは魅力的な選択肢になる。

つまり、かつやは単にカツ丼を販売しているわけではない。

「この価格で、この満足感が得られる」という価値を提供している。

ここが重要なのだ。

例えば、ある商品が500円だったとしよう。

消費者は「500円なら十分満足」と考える。

しかし、同じ商品が650円になったらどうだろうか?

商品そのものが変わっていなくても、消費者の評価は変わるかもしれない。

「650円なら、別の店でもいいかな。」

そう考える人が出てくる可能性がある。

つまり、値上げによって変わるのは、単なる販売価格だけではない。

お客様が感じる商品の価値そのものが変わる可能性がある。

これが、低価格ブランドにとって怖いところだ。

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◆ 第4章|「安さのブランド」を失うとは、どういうことか?

ここで、ブランドについて考えてみたい。

ブランドとは、単なるロゴや商品名ではない。

お客様の頭の中にあるイメージだ。

例えば、ある企業に対して、

「高級だけど品質がいい。」

そんなイメージを持っている人がいる。

別の企業に対しては、

「安くて、気軽に利用できる。」

そんなイメージを持っているかもしれない。

このイメージが、購買行動に影響する。

では、安さを強みとしてきた企業が値上げすると、どうなるだろうか?

当然、原材料費や人件費が上がれば、値上げが必要になることもある。

企業が利益を確保するためには、合理的な判断だ。

しかし、お客様の頭の中にある価格イメージが変わってしまうと、問題が起きる。

以前は、

「かつやなら安く食べられる。」

そう考えていた人が、

「最近のかつやは、そこまで安くないかも。」

と感じるようになる。

その瞬間、かつやを選ぶ理由が一つ弱くなる。

もちろん、かつやがすでに安さのブランドを失ったと断定することはできない。

実際の顧客意識調査などを見なければ、ブランドイメージの変化は正確に分からない。

しかし、低価格を強みとしてきた企業にとって、価格イメージの変化は非常に重要なリスクだ。

企業が決めるのは販売価格。

しかし、その価格が高いか安いかを決めるのは、お客様なのだ。

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◆ 第5章|ライバル「松のや」の存在が大きくなっている

かつやの客数減少を考えるうえで、もう一つ無視できない存在がある。

それが、松屋フーズが展開する「松のや」だ。

松のやも、とんかつを中心とした外食チェーンである。

つまり、かつやと競合する部分が大きい。

ここで重要なのは、消費者が比較する相手が存在することだ。

例えば、近くにかつやしかなければ、かつ丼を食べたい人はかつやを選びやすい。

しかし、近くに松のやもあればどうだろうか?

価格。

ボリューム。

味。

ごはんやみそ汁のサービス。

キャンペーン。

店舗の立地。

こうした条件を比較して、お客様は店を選ぶようになる。

松のやは、2026年10月21日から、対象の盛り合わせ定食について、お値段据え置きで一部のおかずを倍量にするキャンペーンを予定している。

例えば、ロースかつと唐揚げの盛り合わせ定食では、唐揚げが3個から6個になる。

これは、非常に分かりやすい価値の訴求だ。

価格を下げるのではなく、同じ価格で満足感を高める。

消費者からすれば、お得に感じやすい。

もちろん、このキャンペーンがかつやの客数減少の原因になったわけではない。

開催時期が異なるからだ。

しかし、競合が価格と満足感の両面で顧客獲得を狙っていることは分かる。

ここで、かつやにとって重要になるのが、競合と比較されたときに、選ばれる理由を維持できるかという問題だ。

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◆ 第6章|値上げは本当に悪い戦略なのか?

ここまで読むと、値上げが悪いことのように感じるかもしれない。

しかし、俺はそうは思わない。

企業にとって、値上げが必要な場面はある。

例えば、原材料費が上がったとしよう。

人件費も上がる。

電気代も上がる。

物流費も上がる。

それなのに販売価格を据え置いたらどうなるだろうか?

利益が減る。

設備投資ができなくなる。

従業員の待遇改善も難しくなる。

サービス品質が低下する可能性もある。

そして、結果としてお客様が離れてしまうかもしれない。

つまり、値上げをしないことにもリスクがある。

ここで重要なのは、値上げそのものではなく、値上げに見合った価値を提供できているかということだ。

例えば、800円の商品を900円に値上げしたとしよう。

しかし、味が良くなった。

ボリュームも増えた。

店内のサービスも改善された。

それなら、900円でも満足できるお客様がいるかもしれない。

一方、商品もサービスも変わらず、価格だけが上がったら?

消費者は割高に感じる可能性がある。

もちろん、コスト上昇を吸収するための値上げでは、すべての商品で価値を上乗せするのは難しい。

それでも、企業は値上げと同時に、顧客が感じる価値をどう守るかを考える必要がある。

値上げは、利益を守るための手段だ。

しかし、お客様が離れてしまえば、長期的な利益を守れない可能性がある。

ここが、経営の難しさなのだ。

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◆ 第7章|かつやには、まだ強い武器がある

では、かつやはこのまま苦戦し続けるのだろうか?

俺は、そう簡単には言えないと思う。

なぜなら、かつやには、長年積み重ねてきた強みがあるからだ。

まず、商品力。

揚げたてのとんかつやカツ丼を、比較的手頃な価格で提供できる。

次に、店舗網。

国内で500店舗以上を展開しており、幅広い地域で利用できる。

そして、オペレーションの効率化。

かつやでは、独自のオートフライヤーなどを活用し、品質の安定と生産性向上に取り組んでいる。

さらに、期間限定商品やキャンペーンも積極的に展開している。

例えば、2026年9月には、ごはん大盛り無料キャンペーンを実施。

10月には、期間限定の「海老トリプル丼」を発売した。

つまり、かつやは何もしていないわけではない。

客数減少に対して、さまざまな施策を打っている。

重要なのは、それらの施策が継続的な来店につながるかどうかだ。

一時的にキャンペーンでお客様が増えても、その後に客数が戻ってしまえば、長期的な成長にはつながりにくい。

だからこそ、次に必要なのは、お客様が日常的にかつやを選ぶ理由を強くすることだと思う。

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◆ 第8章|マサトが考える、かつや復活のフライホイール戦略

ここからは、俺自身の経営観として考えてみたい。

もし、俺がかつやの経営戦略を考える立場だったら、何を重視するだろうか?

まず、現在のお客様が何を求めているのかを分析する。

価格なのか?

ボリュームなのか?

味なのか?

提供スピードなのか?

それとも、キャンペーンのお得感なのか?

そして、以前は来店していたのに、最近来なくなったお客様がいるなら、その理由を調べる。

ここがスタートだ。

そのうえで、競合と比較して、かつやの強みを再確認する。

例えば、揚げたてのカツ丼。

独自の期間限定商品。

持ち帰りの利便性。

店舗の利用しやすさ。

こうした強みを磨く。

そして、お客様が増えたら、その成果を再投資する。

商品開発に投資する。

従業員の教育に投資する。

設備を改善する。

店舗のサービス品質を高める。

すると、お客様の満足度が上がる。

再来店が増える。

売上が増える。

そして、さらに投資できるようになる。

これが、俺の考えるフライホイール戦略だ。

逆に、客数が減ったからといって、単純に人件費やサービスを削減したらどうなるだろうか?

人手が足りなくなる。

提供スピードが落ちる。

店舗の清掃やサービスが行き届かなくなる。

お客様の満足度が下がる。

さらに客数が減る。

そんな悪循環に陥る可能性がある。

もちろん、無駄なコストを削減することは必要だ。

しかし、お客様が来店する理由まで削ってしまっては意味がない。

売上を増やすための投資と、利益を守るためのコスト管理。

この二つを両立することが重要なのだ。

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◆ 第9章|飲食店が本当に見るべき数字は何か?

最後に、今回のニュースから学べる経営のポイントを整理したい。

飲食店の売上は、基本的に次の式で考えられる。

売上 = 客数 × 客単価

非常にシンプルだ。

しかし、ここに経営の難しさが詰まっている。

客単価を上げれば、売上が増えるとは限らない。

客数が減る可能性があるからだ。

一方、値下げすれば客数が増えるとも限らない。

価格を下げても、お客様が魅力を感じなければ来店しない。

さらに、売上が増えても利益が増えるとは限らない。

原材料費や人件費が増えれば、利益は圧迫される。

つまり、経営者は一つの数字だけを見て判断してはいけない。

客数。

客単価。

売上。

粗利益。

営業利益。

リピート率。

そして、顧客満足度。

こうした数字を組み合わせて考える必要がある。

特に、今回のかつやのように客単価が上がっている一方で客数が減少している場合、注目したいのは、値上げによって得られた利益と、失った顧客による影響のバランスだ。

もちろん、客数が減っていても、利益率が大きく改善していれば、経営上は合理的な場合もある。

だからこそ、客数減少だけで企業の戦略が失敗したと判断することもできない。

重要なのは、短期的な利益と長期的な顧客基盤の両方を見ることだ。

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◆ まとめ|「安い店」から「選ばれる店」へ

かつやの客数が減少している。

2026年8月の既存店客数は、前年同月比6.1%減。

一方、客単価は0.8%上昇した。

しかし、既存店売上高は5.4%減少している。

この数字は、飲食店経営の難しさを教えてくれる。

値上げをすれば、客単価は上がるかもしれない。

しかし、お客様が離れてしまえば、売上は減少する可能性がある。

特に、手頃な価格を強みとしてきた企業にとって、値上げは慎重に考えなければならない。

なぜなら、お客様が買っているのは、商品そのものだけではないからだ。

「この価格で、この満足感が得られる。」

そんな期待も含めて、商品を選んでいる。

そして、その期待がブランドを作っている。

ただし、かつやの客数減少が値上げだけによって起きたと断定することはできない。

競合の存在。

消費者の節約志向。

商品の魅力。

店舗の利便性。

さまざまな要因が関係している可能性がある。

だからこそ、企業に必要なのは、単純な値下げでも、単純な値上げでもない。

お客様が感じる価値を高めること。

そして、その価値を継続して提供できる仕組みを作ることだ。

俺は、こう考える。

「安いから選ばれる店」は、もっと安い店が現れたときに苦しくなる。

しかし、「この店だから選ぶ」と思ってもらえる企業は強い。

かつやが今後、どのように客数を回復させるのか。

その鍵は、価格を下げることだけではなく、顧客にとっての価値をもう一度磨き上げることにあるのかもしれない。

財前マサトでした。