◆ はじめに|AIの本当の燃料は「電気」だった
ChatGPT。
画像生成AI。
動画生成AI。
AIエージェント。
ここ数年、
世界中でAIブームが起きている。
そして、
AI関連のニュースを見ると、
主役になるのは、
だいたい半導体だ。
GPU。
サーバー。
データセンター。
「AI時代は半導体企業が儲かる」
そんなイメージを持っている人も多いと思う。
でも、
2026年10月1日。
日本でかなり面白いニュースが出た。
日本最大の発電会社、
JERAが、
Dell Technologies、
英国のAIインフラ企業RHAELMと、
日本でAIインフラを開発するための協業を発表した。
その最初のプロジェクトが、
千葉県に計画されている、
約150億ドル規模のAIデータセンター。
日本円にすれば、
ざっくり2兆円規模。
しかも、
電力容量は、
400MW級。
なぜ、
発電会社であるJERAが、
AIの世界へ入ってくるのか。
答えはシンプルだ。
AIは、とんでもなく電気を食うからだ。
もしかすると、
AI時代の本当の勝者は、
AI企業だけではないのかもしれない。
今日は、
AIブームの裏側で始まっている、
「電力争奪戦」
について考えてみたい。
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◆ JERAがAIデータセンターへ
今回の計画では、
JERA、
Dell Technologies、
RHAELMの3社が協力する。
場所は、
JERAの千葉火力発電所に近い土地。
RHAELMが、
データセンターの開発、
建設、
運営、
資金調達を担う。
Dellは、
AI向けのコンピューティングインフラを提供する。
そして、
JERAが持っている最大の武器。
それが、
土地と電力だ。
JERAは、
このデータセンターに対して、
400MWの電力を、
15〜25年間という長期契約で供給する計画だ。
稼働開始は、
2028年。
2029年には、
フル稼働を目指すという。
つまり、
今回のニュースは、
単なる、
「データセンターを作ります」
という話ではない。
発電会社。
AIインフラ企業。
IT企業。
金融。
それぞれが組み合わさって、
巨大なAIインフラ産業を作ろうとしている。
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◆ そもそも400MWってどれくらい?
400MW。
と言われても、
正直、
ピンとこない。
ただ、
普通のデータセンターとは、
明らかに規模が違う。
IEAによると、
従来型のデータセンターは、
10〜25MW程度の電力を使う。
一方、
大規模なAIデータセンターでは、
100MWを超えるケースもある。
今回の計画は、
400MW級。
AIが、
いかに大量の電力を必要としているのかが分かる。
では、
なぜそんなに電気が必要なのか。
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◆ ChatGPTは「魔法」ではない
俺たちが、
ChatGPTに質問する。
数秒後、
答えが返ってくる。
スマホから見ると、
まるで魔法だ。
でも、
当然、
魔法ではない。
その裏側では、
大量のコンピューターが動いている。
GPUが計算する。
サーバーが動く。
ネットワーク機器が動く。
そして、
コンピューターは熱を出す。
だから、
冷やさなければならない。
つまり、
AIを動かすには、
計算する電気。
冷却する電気。
通信する電気。
さまざまな電力が必要になる。
俺たちが、
何気なくAIへ質問するたび、
どこかのデータセンターで、
巨大な設備が動いている。
AIはデジタルに見えて、実はものすごく物理的な産業なのだ。
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◆ 世界のデータセンター電力消費は「日本一国分」へ
そして、
これからAIが普及すると、
この電力需要は、
さらに増えていく。
IEAの予測では、
世界のデータセンターが消費する電力量は、
2030年には、
約945TWh。
現在から、
2倍以上になると予測されている。
しかも、
この数字。
現在の日本全体が使う年間電力量を、
わずかに上回る規模だ。
つまり、
2030年には、
世界中のデータセンターだけで、
「日本一国分」ほどの電気を使う可能性がある。
そして、
その最大の成長要因が、
AIだ。
AIは、
ソフトウェア革命であると同時に、
巨大な、
エネルギー革命
でもある。
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◆ AI時代のボトルネックは「頭脳」から「電力」へ
AI競争というと、
これまでは、
どの会社が、
一番賢いAIを作れるか。
どの会社が、
一番強いGPUを作れるか。
そんな競争だった。
でも、
AIが巨大化するほど、
別の問題が出てくる。
「そのAI、どこで動かすの?」
という問題だ。
高性能なGPUを、
大量に集めた。
でも、
電力がない。
データセンターを作った。
でも、
送電網につなげない。
そんなことになれば、
AIを動かせない。
つまり、
AI時代のボトルネックが、
半導体だけではなく、
電力そのもの
へ移り始めている。
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◆ だから発電会社がAI企業になる
ここで、
今回のJERAの動きが面白くなる。
JERAは、
AIモデルを作る会社ではない。
GPUメーカーでもない。
クラウド企業でもない。
発電会社だ。
でも、
AIが大量の電力を必要とするなら、
話は変わる。
AI企業が増える。
↓
データセンターが増える。
↓
電力需要が増える。
↓
発電設備が必要になる。
↓
送電設備が必要になる。
↓
電力会社の価値が上がる。
つまり、
AIブームが巨大になるほど、
AIとは一見関係なさそうな会社までAI関連企業になっていく。
これ、
昨日書いた、
「中国経済を救っているのはAI?」
という話ともつながってくる。
AIはもう、
ネットの中だけで完結する産業ではない。
工場。
半導体。
電力。
建設。
不動産。
通信。
金融。
いろんな産業へ、
AIマネーが流れ始めている。
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◆ AI時代の「本当の勝者」は誰なのか?
では、
AI時代に儲かるのは、
誰なのか。
OpenAI。
Google。
Microsoft。
NVIDIA。
もちろん、
こうした企業は、
AI革命の中心にいる。
でも、
もう少し視野を広げてみる。
AIを動かすには、
GPUが必要。
データセンターが必要。
電力が必要。
冷却設備が必要。
変圧器が必要。
送電網が必要。
土地が必要。
建設会社が必要。
大量の資金も必要。
つまり、
AIという巨大産業の周辺には、
ものすごい数の「ツルハシ屋」が存在する。
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◆ ゴールドラッシュで儲かったのは誰だった?
よく使われる話がある。
ゴールドラッシュ。
みんなが、
金を掘りに行った。
でも、
確実に需要が増えたものがあった。
ツルハシ。
ジーンズ。
宿泊。
輸送。
つまり、
金そのものを掘らなくても、
金を掘る人に必要なものを売る
というビジネスが成立した。
AIでも、
似たことが起きている。
AIモデルを作る。
これは、
金を掘る側。
一方、
半導体。
電力。
冷却。
通信。
データセンター。
これは、
AIを掘るための、
ツルハシ側だ。
どのAIサービスが最終的に勝つか。
まだ分からない。
でも、
どのAIが勝っても、
必要になるものがある。
ここに、
大きなビジネスチャンスがある。
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◆ 「AI関連株」の意味が変わる
これは、
投資を見る時にも、
かなり重要だと思う。
AI関連株。
と言われると、
半導体企業ばかり見てしまう。
でも、
AI需要が本当に長期化するなら、
見るべき範囲は、
もっと広い。
電力。
送配電。
変圧器。
電線。
データセンター。
建設。
冷却設備。
半導体製造装置。
電子部品。
再生可能エネルギー。
原子力。
蓄電池。
AIという一つの技術から、
巨大なサプライチェーンが生まれる。
だから、
「AI企業を探す」
ではなく、
「AIが増えたら、絶対に必要になるものは何か?」
という考え方が、
重要になる。
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◆ 電力会社なら何でも勝てるわけではない
ただし、
ここで注意したい。
AIが電気を大量に使う。
だから、
電力会社の株を買えばいい。
そんな単純な話ではない。
発電設備を増やすには、
莫大な金が必要になる。
送電網にも、
投資が必要だ。
燃料価格も変動する。
規制もある。
さらに、
データセンター建設計画そのものが、
延期されたり、
需要予測が外れたりする可能性もある。
AI投資が、
現在の期待ほど利益を生まなければ、
データセンター需要も変わる。
つまり、
「AI=電力需要増=電力会社全部儲かる」
ではない。
見るべきなのは、
実際にどんな契約を取っているのか。
投資額はいくらなのか。
利益率はどうなのか。
どれだけ長期間、
収益が続くのか。
ここまで見る必要がある。
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◆ JERAの「15〜25年契約」が面白い
だからこそ、
今回、
俺が一番面白いと思ったのが、
15〜25年間の長期電力供給契約
という部分だ。
AIブームは、
ものすごい勢いで動いている。
でも、
電力インフラは、
今日作って、
明日完成するものではない。
発電所。
送電線。
変電所。
データセンター。
すべて、
長期間の計画が必要になる。
だから、
AI企業と電力会社の関係も、
単なる、
「電気を買います」
から、
「一緒にインフラを作ります」
へ変わっていく可能性がある。
AIと電力。
この二つが、
完全に別産業ではなくなっていく。
今回のJERAの動きは、
その象徴なのかもしれない。
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◆ 日本にとってはチャンスでもあり、課題でもある
そして、
これは日本にとっても、
かなり大きな話だ。
AIデータセンターが、
日本国内に増える。
そうなれば、
建設。
設備。
電力。
通信。
保守。
さまざまな需要が生まれる。
日本企業にとって、
新しい巨大市場になる可能性がある。
一方、
問題もある。
大量の電力を、
どこから持ってくるのか。
再生可能エネルギー。
火力。
原子力。
蓄電池。
送電網。
AIの成長が速すぎれば、
電力インフラが、
追いつかない可能性もある。
IEAも、
AIやデータセンターの拡大によって、
先進国の電力需要が再び伸び始めていると分析している。
日本でも、
2030年に向けて、
データセンターによる電力需要の増加が予測されている。
つまり、
これからのAI競争は、
「AIを作れる国」だけではなく、「AIを動かす電力を用意できる国」の競争
になるかもしれない。
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◆ 俺たちの電気代には影響するのか?
ここで、
生活者として気になるのが、
これだ。
「AIがそんなに電気使ったら、
俺たちの電気代、
上がるんじゃないの?」
これは、
今後かなり重要な論点になると思う。
ただ、
データセンターが増えたから、
即、
家庭の電気代が上がる。
と単純には言えない。
新しい発電設備。
送電網への投資。
電源構成。
燃料価格。
料金制度。
さまざまな要素が絡むからだ。
ただし、
一つ確かなのは、
AI時代には、
電力をどう安定して大量に確保するか
の重要性が、
今まで以上に高まるということ。
AI競争の裏側で、
電力政策そのものが、
重要な経済政策になっていく可能性がある。
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◆ 俺たちが見るべき「AIの裏側」
AIニュースを見る時、
新しいAIモデルが出た。
性能が上がった。
動画が作れるようになった。
それだけを見るのも面白い。
でも、
ビジネスとして見るなら、
その一段下を見る。
そのAIを動かすために、
何が必要なのか。
GPU。
電力。
土地。
冷却。
通信。
建設。
金融。
そこを見る。
新しい巨大産業が生まれる時、
儲かるのは、
一番目立つ企業だけではない。
むしろ、
その産業が大きくなるほど、
必ず必要になるものを提供している企業。
そこに、
長期的なチャンスが生まれる。
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◆ まとめ|AI革命の裏で「電力革命」が始まる
AIは、
頭がいい。
文章を書く。
画像を作る。
動画を作る。
プログラムを書く。
でも、
どれだけ賢くなっても、
電気がなければ、
1文字も答えられない。
今回、
JERA、
Dell Technologies、
RHAELMが動き出した、
約150億ドル規模のAIデータセンタープロジェクト。
400MW級。
2028年から段階稼働。
そして、
JERAは、
15〜25年間にわたって、
400MWの電力を供給する計画だ。
これは、
AIブームが、
次の段階へ入った象徴なのかもしれない。
AIモデルの競争から、
AIインフラの競争へ。
半導体の競争から、
電力の競争へ。
そして、
これから重要になる問いは、
「どのAIが一番賢い?」
だけではない。
「そのAIを、誰が動かしている?」
だ。
AI革命の本当の勝者は、
画面の中ではなく、
巨大なデータセンターの裏側にいるのかもしれない。
AIは、
電気を食う。
そして、
その電気を作る会社まで、
AIビジネスになり始めている。
財前マサトでした。